週間店長情報 経験せんと判らん松葉杖歩行 31 5 13
車椅子生活が一ヶ月半続きました。入院の日からギブス状態でリハビリが続いています。ギブスが取れてから松葉杖を使ってのリハビリが始まりました。松葉杖には苦い思い出があります。
10年以上前松葉杖の人に操体法での歪み直しをした事があります。「しんどくなった」と後から本人に言われました。「おかしい。痛い事は何もしていないのに」脚の長さを調節して同じ長さに調整しただけです。これで悪くなる筈はないのに具合が悪くなったというのです。
この時「障害者の歪み直しはバツかも」と。脚の長さが違っていても困っていない人に脚の長さを調整して同じ長さにする事は「してはいけない」のです。この時歪みを正す事が正解ではないと悟りました。操体法は「バランスを整える」という考え方ですが具合が悪い人にバランスを整えるのは良いのですが悪くない人を無理に正体に戻してやる必要はないのです。当時は歪みを正せばいいという考え方でした。歪んでいる状態でも本人が自力で身体を調整しているのです。こういう事は経験しなければ判らない事です。歪みを正すのが正解というのはこちらの傲慢。
長い間 車椅子生活者とか松葉杖生活者について「どうすれば」と言う疑問がありました。引っかかっていたのです。老人ホームへのボランティアも続けていたので骨折で「何か判るかも」
自分が車椅子生活をするとか松葉杖を使うとは想定外。人生って判らないものです。車椅子についてはなれました。漕ぐのも早くなりました。足以外は健康なので漕ぐのが早いのは当たり前です。その上ここでは僕は「若い」のです。入院患者の大部分は70~80才代の人。何で年寄りが多いのかは不明です。かなりの人が生命保険を掛けている筈ですから安心して入院できるのかもしれません。当方は保険を掛けていません。入院と言う事態を想定していない人生を送ってきたのです。と言いたいですが現実は貧乏で掛け金を払えないだけです。更に言えば親父が保険嫌い。家内は母親が保険外交員だったので逆。「あんたが死んでも一銭も入らんが私は入る。受取人はあんたにせん。あんたには一銭もやらん」と言われています。
松葉杖ぐらい簡単に使えると思っていました。操体法では「手は小指、足は親指に重心をかけるのがお決まり」「手は握り締める。足は踏みしめる」と説明しています。これが正解のはず。
松葉杖は脇に閉めるがセオリー(これは納得)手は平行か若干外側にという指導です。松葉杖は前に「逆八の字」で杖を出すのです。前に脇を締めるのを意識すると手は体側側というか少し横向き又は手の平が若干前向きになるのです。指導する人は「脇を締めて」と言いながら「体側よりも少し手は外向きに意識するように」と言います。操体法の身体の自然法則から言えば変です。素直に聞いて実践しますがうまくいきません。これにも逆らいません。PTの人は手本を見せてくれます。上手です。操体法で頭が凝り固まっている僕は苦戦でした。
初期の松葉杖歩行は左荷重100%右30%です。左は全体重をかけてもOK。右は体重の30%以上かけてはいけないという意味です。この30%と言うのが難しい。どうしてもオーバーしてしまいます。歩行途中に体重計を片足に乗せるというのも体重計の厚さを考えると難しいのは当たり前。指導する人も難しいのは知っているのです。本当は平面で体重計を埋め込んであると良いのですがそうなっていません。しかもアノログの体重計。瞬間的に目視で体重計を見ての判断。かなりの無理筋。これも慣れるとコツが判るので数回で「OK」になりました。コツは前方の目線位置。
両松葉から片松葉杖になって不思議な事が。僕は右が重症。片松葉だと松葉杖は右の筈。これが左松葉になるのです。「えぇっ 何で」と聞きたくなります。PTの指導では右足を出すと同時に左の松葉杖を出すのです。その時右は50%荷重。左に体重の半分の重心を掛けるのです。ドラマで出てくるシーンは片足が使えない場合の松葉杖。僕と同じ状態だと反対になるのです。ドラマは間違った演出をしているシーンもあると聞きました。経験せんと判らん松葉杖歩行。