週刊店長情報 目利きが出来ると売れる 2019 9 9
斜陽産業だと確信している魚屋が首都圏で十数店チェーン展開していると言う記事を観ました。魚屋って誰も将来性がないと思っている筈です。都会で今から魚屋をやろうと言う人はいません。これが僕の常識です。この常識とやらが役に立たないのです。何か参考になりそうです。
チェーンの魚屋は元魚卸業。スーパーの台頭と共に取引先の魚屋が次々閉店していくので将来はないと思っていたのです。スーパーの魚売り場を見学して「こんなに高くても売れるのか。」「うちが店を出せばかなり安く売れる」と小売店を始めたところ押すな押すなの大賑わい。安いうえにお好みに捌くサービスとかあまり出回っていない魚も料理方法を説明して販売。次々と店を増やしていったのです。売れる理由は「魚の知識と目利きが出来るから」だと言います。今は目利きが出来る人が育つまで新規出店は控えているらしい。小売店というよりお魚の大型店。スタッフも一人ではありません5~10人以上。スーパーの魚は種類が少なくとてつもなく高いらしい。出来た魚屋は敵なし状態。対抗する店は出ていません。関西にはそういう店はありません。都会の魚屋は少なくなっています。零細店から脱皮出来なかったのです。仕入先はみんな同じ卸売市場です。
商売の始まりは立売。これが進化したのです。戦後は食料品店から出発。魚屋 八百屋 肉屋とかもこの時にできました。ほどなく大型食料品店が。そしてスーパーが出来たのです。ワンストップショッピング総合スーパー(GMS)が全国展開しました。この間中小小売店は減り続けていたのです。今なって魚屋の大型店が出てきたのです。これってカテゴリーキラーでしょう。家具 家電の量販店と同じかも。ホームセンターもこの類です。
スーパーは安くないと言われ続けています。安く売れないのです。魚のように腐る物は利益を出しにくい。他の生物も同じでしょう。集客の為に仕方がないのです。それでも苦戦が続いています。
お魚の大型店が出てきましたがお肉の大型店はありません。神戸牛 近江牛 佐賀牛 松坂牛とか全国のブランド牛全部を取扱っている肉専門大型店です。これで価格が安ければ押すな押すなの賑わいになる事間違いなし。出来ない理由があるからでしょう。これを解決した店が繁盛の筈。
自然食品店も今の状態は食料品店です。何でも屋とも言えそうです。かっこよく言えば生活提案店。これからの進化は大型化。スーパー形式になるとほとんどの人が指摘しています。そうなるかどうかは判りません。その前にスーパーが自然食品店化する可能性もあります。スーパーには国産野菜 国産牛 天然魚も出始めているのです。国産小麦 天然酵母のパンもあります。「スーパーに天然酵母 国産小麦のパン」があるとネットで見たので見学に行きました。滋賀県のスーパーです。見学した日は売り切れ状態。愛知県の大手製パン会社が作っています。これを見て「国産小麦 天然酵母」だけでは今後難しいだろうと実感しました。「腕が違う」と胸を張って言える店なら大丈夫です。僕は天邪鬼ですから「飛び切り美味しくないパン」がいいと思っています。「○○は三日で飽きるが○○は三日で慣れる」食べ飽きない物が良いのです。
この業界に次に出てくる業種は無添加たこ焼き屋 無添加ラーメンは首都圏では出始めています。無添加うどん店 有機国産米専門店 放牧牛豚肉専門店 パン屋は無農薬国産小麦天然酵母の店でしょう。オーガニックコーヒー豆専売店というのもありです。有機無農薬茶専門店も可能性ありです。喫茶と併設でいけるかも。野菜専門店はもうあります。まだ大型店が出来ていません。
進化とか変化はゆっくりと徐々にではなくある日突然に起きそうです。初めの店がうまく行くとすぐに真似するのが日本人。真似されるくらいでないと将来性はないのです。真似されるのを覚悟で商売を続けると良いのです。件の魚屋でも真似はすぐ出来るでしょうが魚の目利きの出来る人材がいないと続かないのです。自然食業界の新規に出来る商売も真似は簡単に出来そうです。必要なのは商品の目利きと豊富な知識。これがあれば売れるのです。