週刊店長情報 夢中になるな 30 4 16
「夢中になるな」って何かの間違いではないの。本当は「夢中になれ」では。「いや そうではありません。間違いないです」「そんなのおかしい。誰もそんなこと言わんでぇ」「だから 言うのです」「おめぇの話はいつも判らん」「判らんからいいんと違う」余計に「さっぱり判らん」
「夢中になれ」と言うのはいろいろな場面で使われています。子供だと「勉強に夢中」「野球に夢中」「ゲームに夢中」「遊びに夢中」学生だと「趣味に夢中」「部活に夢中」「漫画読みに夢中」「楽器に夢中」「バンドに夢中」「AKBに夢中」「芸能人に夢中」「女に夢中」大人だと「仕事に夢中」「趣味に夢中」「将棋に夢中」「経営に夢中」老人だと「盆栽に夢中」「ボランティアに夢中」(こんなのあまりなさそう)「歌舞伎に夢中」「○○に夢中」は悪い言葉ではない筈。
夢中になる事は悪い事ではありません。「ええっ おめぇ ゆうてることと違うじゃん」そうてす。ここまでの夢中は概ねいいことです。実はあまり知られていませんが夢中にも「松竹梅」があるんです。ここまでの夢中は梅タイプなんです。誰も言いませんが。
当方が問題にしたいのは上級の松タイプ。マラソンハイとかレスリングハイと言う言葉があります。松の夢中がこれに当たります。マラソンの高橋尚子さんが金メダルを取ったとき「今からでも42.195キロ走れそう」と言う話をしているのをテレビで見ました。おそらく走れるでしょう。
昔プロレスでジャイアント馬場さんが雑誌でサンマルチノと対戦中にある時間を越えてから全く疲れない状態になったと言っていました。対戦相手も同じ状態だった模様。何時間動いても疲れない状態になったのです。疲れないとすばらしい業の応酬が延々と続くのです。
これはマラソン レスリングだけではなさそう。いろいろな分野である時間を越えるとそのような状況になるのが判っています。かつては脳内麻薬とか呼ばれていました。こんな状態になれば仕事を何時間続けても「疲れ知らず」です。これだといい筈ですが僕は「危険だ」と言いたいのです。
僕の推察では「身体のブレーキ機能が壊れた状態又は効かなくなった状態」です。疲れると感じるとブレーキがかかるのです。身体が「これ以上続けるな」とサインを出しているのです。ブレーキがきかなくなるというのは「悲鳴を黙らせる」状態なのです。
プロレスのジャンボ鶴田選手のスタミナが無尽蔵だと雑誌に書かれていました。長州力選手と30分以上戦って長州力選手は「へとへと」だったのにジャンボ鶴田選手は「これからもう一丁いけそう」だとインタビューに答えていました。体力とスタミナの差はあっても「これはおかしい」と思っていました。その鶴田選手は肝臓に障害がみつかり現役引退。結局早死にしてしまいました。
疲れ知らず状態は感覚が麻痺しているとも捉えることができます。感覚麻痺だと何をしても感覚が無いのですから「いい塩梅です」となります。ボランティアで100歳過ぎた人に圧痛点を触った事があります。本当は痛いはずですが「気持ちいい」と言うのです。
田舎の高齢の知人が真夏でもないのに熱射病で救急車搬送。後で本人に聞くと「水分不足が原因だった」らしいです。近くの救急病院では搬入してもらえず40分以上遠い福井日赤まで搬送。理由は高齢者の熱射病はちょっとした処置の違いで命にかかわる事態になるからだと聞きました。
昔住んでいたアパートではしょっちゅうありました。隣の部屋の高齢の一人暮らしの女性。真夏35度以上の温度でクーラーも無い部屋にいて日射病で救急搬送。テレビだけは豪華でした。更に真上の一人暮らしの爺さんも真夏でもクーラーなし扇風機だけでした。初めは「軍隊上りはすごい」と思っていましたが今考えると感覚麻痺だったのです。この人も結局亡くなりました。
井原西鶴の本でも出ているのを思い出しました。男女が三昼夜愛し合った結果についてです。二人とも「腎虚」になってあの世行きと書いてあったと記憶しています。
年をとると感覚麻痺は避けて通れません。いい加減がいいのです。何でも「夢中になるな」です。