週間店長情報 たまごの科学 2020.12.07
先週茶碗蒸しについて紹介しました。その折「茶碗蒸しの科学」と言うタイトルにしょうかと迷いました。でも枕の部分を打ち続けていくと紙面の残りが少なくなり茶碗蒸しの理屈についてまで辿り着けませんでした。1本出来てしまったので「これでいいや」とちょっと投げやりになっていました。愛が少なかったのです。愛にも松竹梅 ABCがあるのです。少し反省。挽回編のつもり。
たまごについて話をしても皆さんの方が詳しいと見ています。たまごの種類 養鶏方法 僕が話をする必要はなさそうです。「その上を考えるのがおめぇの使命と違うんかい」と言われそうです。調べてみるとやっぱり知らない事がいろいろ。
初めに卵と玉子の違いについてです。判っているような、いないような。明確に答えられる人は少なそう。これは僕のお勉強です。知っている人があれば御免なさい。卵は「調理前の状態」だと言います。他生物学的には 孵化して子になるもの。玉子のほうは調理した状態。大雑把ですが。
卵の凝固温度 卵白は60度ぐらいから固まり始め80度で固まります。卵黄は65度ぐらいから固まり始め75度で固まります。玉子料理は黄身と白身の凝固温度が違う為混ぜるのです。弱火調理の水島先生は「切る」と言う表現を使っています。廻すのではなく斬るのです。
卵の保管場所は冷蔵庫の卵ポケットはNGです。冷蔵庫はしょっちゅう開閉します。その都度外気が入って温度が上昇するのです。この影響をもろに受けるのが冷蔵庫の前面と卵ポケットのある扉内側です。卵の表面には雑菌が付いています。たとえ無菌状態でも空気に触れれば空中にある雑菌が付きます。雑菌が付着すれば開閉のたびに温度上昇して雑菌が増殖する可能性があるのです。防ぐには冷蔵庫の奥に置くのがベストです。「冷蔵庫メーカーさん 御免なさい」
誰でも知っている事ですが新鮮な卵は茹でると殻が剥き難いです。理由は白身の中に含まれている炭酸ガスが加熱によって膨張卵白が内皮にくっついてしまう為です。
卵は生まれてから時間が経つに連れて、卵白に溶けていた二酸化炭素が放出されます。ガスが卵殻膜にたまって、気室という層ができます。気室があることで殻と卵白との間に隙間が出来るので、茹でた時殻が剥きやすくなるのです。1週間ぐらい経った卵は剥き易いです。PHも関係しています。新鮮な卵白のPHは低く時間と共に高くなっていきます。PHが低いと卵白と殻が強く結合するので剥き難いのです。解決するにはアルカリを加えればいいのです。その代表が重曹です。目安はお湯1リットルに小さじ半分程度。その他茹でる前に丸い部分にひびを入れて茹で上がったら冷水に入れる方法があります。加熱でひびからガスが放出されます。
赤い卵の出来る訳について 卵は鶏の卵管を通って体外に産卵されます。卵管を通る時間は26時間 殻が完成するまで20時間。初めは白いのですが卵管内を通過しているうちに鶏の種類によって色素が沈着していくのです。卵管を通過している間に茶色色素プロトポリフィンが分泌され殻表面に沈着するのです。結果殻の表面は茶色、内側は白色をしている卵になるのです。
黄身の色の違い 黄身は餌のトウモロコシの色です。オレンジ色卵黄の場合は餌にマリーゴールド 唐辛子 パプリカを混ぜると出来上がります。餌をトウモロコシの代わりに白米にするとホワイト卵になります。これだと脂質も少なく低カロリーです。売っている自然食品店は皆無。
黄身が二つ入っている卵があります。出来る理由は卵黄が卵管を順次と通り抜けていくのですが何らかの理由で先頭の動きが遅くて後ろからの卵黄と数珠繋ぎになった場合又は先頭より後ろの卵黄の動きが速い場合もくっついて卵黄が二つ入りの卵になります。
江戸時代の料理本に「黄身返し玉子」があります。茹で上がると外側が黄身 内側が白身のゆで玉子が出来上がります。作り方は動画がネットに出ています。店で作り方を紹介すると面白そう。
「たんぱく質が足りないよ」「巨人 大鵬 玉子焼き」懐かしいフレーズです。今は死語