週間店長情報 揚げ物の科学 2019 11 4
「おめぇって科学が好きやねぇ」「判りやすいが好きなだけです。頭の中身はすかすかです」揚げ物については水島先生の低温揚げの所でお勉強したのですが美味しい天ぷらに出会いません。
20年以上前ですが京都で操体法教室メンバーの忘年会を天ぷら屋でした事があります。てんぷら専門店に入ったのは初めて。京都三条近くの店でした。カウンター席前に川みたいな鍋に油がはってありその場で天ぷらを揚げてくれるのです。コース料理で 揚げたて あつあつの天ぷら美味しかったです。美味しかった後の代金も半端ではなかったです。昼食にビール2本ぐらいで一人一万円近く払いました。今までこれ以上昼飯代金を払った事はないです。てんぷら専門店が高くつくのを知った初めての経験でした。和食店での天ぷらも美味しいですがスーパーで売られている天ぷらはまずいです。店で食べるとは「月とすっぽん」です。「しゃあないなぁ 値段も違いすぎるのだから」と長年自分を納得させていました。スーパーで美味しい天ぷらと言う事になると揚げたてに当たればいいのですがそういう機会に出会う事はないです。ここで「冷めるとなぜまずくなるのだろう」と言う素朴な疑問が出てきました。きっと訳がある筈です。今回はそのなぜに迫ろうといろいろ探してみました。ひねた少年探偵団ごっこと言うところです。
調理は 焼く 煮る 蒸す 揚げる 等があります。原始的な方法は焼く料理です。揚げるという調理方法は後から出てきたと推察します。方法は昔からあったようですが日本では油は貴重品。量産され始めたのは江戸時代からだそうです。油は灯明に使うので料理に使うというのは一般化しなかったのです。宮廷料理とか精進料理には使っていたらしい。
揚げるのは煮るよりはるかに高温になります。水煮は100度以上の温度になりません。油は沸点が200度。これだと早く熱が食材に通ります。その上衣を付けたりするのです。素上げと言う方法もありますが小麦粉をつけたり 小麦粉を水で溶いたりその上パン粉を付けたりして揚げるのが普通です。揚げると泡が出ます。この泡は水分が飛び散る泡です。揚げるという料理は水分を飛ばし油分を食材の中に入れる方法なのです。この時に油にラードとかバターを入れるとカラッと揚がるとネットに出ています。バターの中の水分が飛び油とバターが絡んでカラッと揚がると言うのです。我が家でバターを入れた事はないです。
揚げ油は高温になると酸化します。高温になりすぎると煙が出ます。この時の温度は200度越えしています。油は高温になりやすく冷めやすい性質を持っています。種を入れると温度は下がるのです。種を多く入れれば温度の下がり具合も大きいのです。油の温度は下がり過ぎない工夫が必要です。コツについては 衣には卵よりマヨネーズ 衣を寄せすぎない 小麦粉を混ぜすぎない 水の温度は低いほうが良い 油の温度は一定にと出ています。これは油の温度を下げないと言うことです。早く加温する為でしょう。バターの代わりにマヨネーズというのが家庭で揚げる時のコツの一つ。動物油脂がいいのです。常温で固形の油と常温で液体の油を混ぜると良いようです。
ここで見落としていたのは揚げたてだとカリッとしている揚げ物も時間経過と共にベチャとなる事です。今までこれが理解できなかったのでスーパーの天ぷらはまずいと判断していたのです。
カラッと揚がった衣は空気中の湿気を吸ってベチャとなるのです。ヨーロッパだと起きないかも知れません。日本は高温多湿なので揚げたてでも時間と共に湿気が衣に入り込んでしまうのです。
これが本当なら揚げたての揚げ物 天ぷらは 放置しないで冷蔵庫に入れるとカリッとしたままの状態を保つことが出来ます。ここでラップをかけるのはNG。ラップをかけると湿気がこもって衣に入るのです。「でも 冷蔵庫の中の他の食品の臭いが移る」と言う人が出そうです。
それなら 扇風機の風を当て続けるという方法はいかがでしょうか。これだと乾燥させ続ける事になります。湿気を衣に入れない工夫が必要なのです。方法はいろいろ考えられるでしょう。