週間店長情報 あんたのそばがいい 2021.08.02
20年以上前ですが食い切りの蕎麦料理を食べた事があります。場所は長野県。取扱い化粧品会社訪問の昼食。移動に結構時間をかかったのを覚えています。レストランは茅葺の土蔵のような建物でした。部長と事務の女性の三人です。部長は「新そば入っている?」と尋ねると「入っています」との返答。初めから終わりまで蕎麦料理が出てきました。蕎麦尽くしの料理を食べたのは初めてでした。それ以来そんな趣向の蕎麦料理を食べた事はありません。
漫画「味いちもんめ」で新そばを食べるシーンがでています。友人から送られてきた物を「まかない」で食べるのです。その時「これを今日のお客さんに出したら」と言う店のスタッフに大将は「友人に食べてもらいたいから送ってきたのです。お客様におだしして下さいとは書いてないでしよう」という件です。秋新と言う蕎麦。秋収穫の蕎麦でしょう。昔から美味しいと言われています。
蕎麦については書いた事があります。更科とか藪とかについて説明しました。関西は砂場そばが主流です。たまに藪蕎麦に出くわす事があるくらいです。更科は関東でしょう。どのそばが美味しいというのは嗜好の問題ですから判断は出来ません。甘いのはどちらと言えば更科だと考えます。お酒と同じでしょう。精白度を高くすれば甘くなるのです。実の中心にいくほど糖分が多いからです。そばもきっとそのはず。僕の判断です。違っているかもしれません。
そばは年に二度収穫時期があるのもほとんどの人は知っている筈です。しかも冷涼な地区で痩せた土地でも耕作できる事も知っているでしょう。夏新と秋新 蕎麦の色は違います。
だいたいこれくらいが基本的知識です。これ以上知っている人はせいぜい中国で栽培されていて日本にかなり輸入されているという事ぐらいです。これからです。
そばの収量世界一は中国ではありません。ロシアです。そばの国民一人当たり一番食べている国も日本ではなくスロバキアです。その他ヨーロッパには伝統的な蕎麦料理があります。
日本のように麺に加工して食べる国は中国と朝鮮、ブータンぐらいしかありません。世界で一般的に食べられているのは「そば粥」ロシアではカーシャと呼ばれています。
インド、ネパールでは粉を水で練って薄焼きや厚焼きにするのがほとんど。ロディ、チャパティ、ナンと呼ばれています。チベットではアンパ。はったい粉のようにして食べるのです。
フランスのブルターニュ地方のクレープは古い伝統的料理の一つとして伝えられています。英国及びチロルのそばすいとん、ヨーロッパ各地の淡水魚を使ったそば料理(マスの蕎麦粉詰め)ポーランドの蕎麦ピロシキ、蕎麦プディングなどがある。日本人だけが食べているのではなさそう。
日本の蕎麦の花は白ですが中国の蕎麦の花の色は赤みを帯びているのが普通。雲南や湖北省の花は真紅を呈する物がある。日本にもそのような花の蕎麦が一部栽培されているのをネットでみました。蕎麦は日本では実を食べますがスプラウトとしても食べられます。その他若い葉とか茎も料理出来るのです。
日本一の蕎麦生産量は北海道。ついで東北各県が続きます。福井県も上位に位置しています。ここまで書いてきて種はどうなっているのか知りたくなりました。蕎麦は他家受粉。蕎麦の生産者は多収量と実の出来具合が均一になる種を生産したがるのです。大規模生産には収穫時期が同じだとメリットが多いのです。その上収穫の時の倒伏に強い品種だとグッド。
いろいろ品種改良されて北海道での奨励品種は キタワセ 牡丹 青森では階上早生 岩手では岩手中生などかあります。
在来種もあります。欠点は収量が少ない事です。蕎麦の実は茎の上と下では熟仕方がばらばらです。改良品種だと同じぐらいになります。在来種が一番多く栽培されている県は福井県。大野地方です。守る会があります。全部県内で消費されています。わたしゃ あんた(福井)のそばがいい。