週間店長情報 教えられない事 2024.03.11
AIとかチャットGDPとか言う言葉が流行っています。このままいくと色々な仕事が人に代わってしまうという。以前調理ロボットと言うのをネットで見た事があります。中国で稼動していました。これならすぐに日本にも普及するかもと思いましたがそうなっていません。立ち食い蕎麦とかラーメン屋が簡単に導入出来るはずです。技術的にはそんなに難しい物ではなさそうです。ひょっとして設備費用が高額すぎるのかもしれません。採算が合わないのかもしれません。
合理化とかロボット導入には価格が問題だと思っています。以前あづみの湧水の製造現場を見学した事があります。一つの工場の従業員は3人、二つ目の倍ぐらいの工場の従業員は1人。最後の倉庫からパレットに水を運ぶロボットを見学した事があります。人間より速いし正確です。しかも明かりを点けなくても水のケースをすばやくパレットに積み続けています。「こりゃ 安く売れるなぁ」と不思議に感心しました。製造現場より販売現場のほうが人間の力を使っているのです。
自然食品は逆に人手がかかるのです。昔ながらの製造方法は手間と時間もかかります。大手食品メーカーはペットボトルの水の製造現場と同じような物だと推察します。以前紹介した事がある「サンディ」の極安食品はロボットが大部分製造しているのかもしれません。
パンの製造現場も見学した事があります。京都にある現場は僕らが職域販売をしたことからチラッと見ることが出来ました。近畿一編の店に卸をしていました。大量生産大量消費社会だと安価な食品が喜ばれるのです。サンディが流行っているのですからみんな安価な食品を求めているのだと思ってしまいますがその真逆な食品を販売しているのが自然食品店です。
自然食品店は薀蓄のある食品の販売をしている店ともいえます。自然食品店に買い物している人がサンディにも買い物するのかは判りません。僕は見学に1回入っただけです。入らない理由は時間的に無理ですしわざわざ遠回りしていく必要を感じません。サンディの前を通る事はあります。店は盛業のようです。安さを求める人は一定数いるのがわかります。
自然食品愛好家はまだまだマイナーだと感じます。取り扱いの化粧品の会社の人は「自然食品店はニッチ市場」だといいます。会社は日本のミョウバン製造の8割のシェアですから市場の見方が違うのです。原料の製造が毎年どのくらい伸びているかを調べるのから始めるのです。
手作り食品は誰でも同じグレードの食品を製造出来る訳ではありません。同じ食品でもメーカーが違えば味も食感も違うのです。こんにゃく製造のトロ風さしみこんにゃくの製造現場を見学した事があります。息子が数年ノートにメモをし続けても作れなかったのです。父親は「職人の技」は教えられないと言いました。息子でも手取り足取り指導しても作れないのです。父親は何十年も続けた結果作れたのです。3年ぐらいでは作れないのです。
親戚の和菓子職人も同じことを言っていました。チーズカステラは「わししか作れん」と言うのです。作れるまで数年数百回の失敗を重ねて作れるようになったのです。どら焼についても「中がしっとり」と作れる人が少ないらしいのです。「京都の○○」「福井の○○」のが似ていると言っていました。熟練の職人が同業者の食品を食べると「これは○○のに似ている」とか「これは素人並み」とか判断するのです。
船井幸雄さんは「一番と二番の差は二番と百番の差より大きい」と本に書いています。商売の世界でも同じかもしれません。熟練の人とその下で何年も一緒に仕事をしていても熟練の人と同じにはなれないのです。その二番の人が独立して数年すると熟練の人の気持ちとか想いが判るのかもしれません。責任がある場合とない場合の違いです。「社員は仕事中、重役は寝るまで、社長は夢の中でも仕事をしている」という言葉も聞いたことがあります。
仕事も食品の製造も教えられる事と教えられない事があるようです。