週間店長情報 ナイフとフォークで刺身を食べる 2023.01.16
数ヶ月前ですが豚肉の塊をもらったことがあります。近くに住む従姉からです。従姉は80歳後半一人暮らしです。そこへ神戸に住んでいる弟から豚肉の塊2キロが数個送られてきたのです。一人暮らしの婆さんに2キロの豚肉の塊は処理に困ります。困った挙句家内に「取りに来て、あげるから」と言う事になったのです。家では豚肉はほとんど食べません。肉は買うこともほとんどありません。塊を見てびっくり。持ってびっくり。ずっしりと重いのです。「よく2キロ痩せた」という人が居ますがこの塊が身体についているのかと感心します。それにしても老婆に冷凍の固まり肉を数個送ってくる弟の気が知れません。ただだから「あげればいい」と思ったのでしょう。武生に住んでいる娘には断られたらしい。行き場の失った肉が我が家に。今までこんな大きな肉を捌いた事はありません。魚ならあるのですが冷凍の肉はそのままでは捌けません。常温で放置してから捌きましたが大変でした。食べるのはもっと大変。だいたい肉をあまり食べない僕らではこちらも食べきれません。いろいろあげたりして何とか処分しました。こんなの年寄りには止めにして。
家内が野菜を沢山貰って処分に困ったことがあります。僕ら二人では食べきれない量です。片っ端から近所とか親戚におすそ分け。家内の親しくしている○○ちゃんの家にも持っていきました。その時お友達はいなくて息子が対応。「家では食べ切れんのでこれ食べて」と貰ったのは鮪の塊。500g以上ありました。「野菜が鮪に化けた」状態。こんなのはいつでもウエルカム。しかもこの息子 青山学院出て田舎の漁師になった人です。珍しい。
スーパーによく行きます。世間と僕のずれを知るためです。主に刺身を買います。毎回ほとんど閉店間際なのでまともな物はありません。特価品も美味しいとは思えないものばかりです。刺身も例外ではありません。色の悪くなっている物を買わざるを得ない場合もあります。こんな場合は50度洗いを実践します。50度洗いについては数年前の1月の店長情報で紹介したことがあります。パックの刺身は空気に触れる部分が酸化するのです。酸化した刺身は生臭くなります。50度洗いにかけるとこの部分が取り除かれます。50度洗いに掛けた後氷水で締めます。これって役に立つ方法です。肉でもいけます。肉の場合もパック詰めされている肉は空気に触れた部分が酸化するのです。赤い色は新鮮ではないです。ペロッとめくるとどす黒い色の肉が見えます。これが本来の肉の色。これも50度洗いにかけると良いのです。その他野菜もシャキシャキ感が戻ります。
刺身を買うのですが悩みがあります。海岸縁の魚屋さんで刺身パックを買うと「薄造り」です。これが漁師町の常識。これがやまが(山里の事)のスーパーには分厚い短冊切りの刺身が販売されています。京都では薄作りもありますが大部分分厚い短冊切りの造りです。三色盛りは赤みを含めた三種類の魚が入っています。僕の買う造りは柵買いです。ない場合に買うのが三色盛りです。この分厚い三色盛り 赤みの魚はまぐろ 白はいか 後はぶりか鯛の場合が多いです。まぐろとかぶりの分厚い魚は何とか噛み切れます。でもイカの分厚いのには苦戦します。イカは歯でちぎりにくいのです。この前入っていたイカはたぶん「もんこいか」分厚いイカの王様。こんな分厚く切ったイカを作った人は食べる人の気持ちは考えていないでしょう。きっと「これを噛み切れるか。やってみるならやってみろ」と挑戦しているのです。僕は美味しく食べたいのです。今回のいかは噛み切れないです。「諦めたら」と作った人がほくそえんでいるみたい。あきらめるのは癪。
造りは箸を食べる物と言うのは固定観念です。別に洋式で食べてもかまわないのです。おもむろにナイフとフォークを取り出してイカを切り刻んで食べてみました。「何でもっと早く気がつかなかったんじゃろう」と思ってしまいました。分厚い造りを箸で食べると言う固定観念を捨てれば良いのです。これなら初めから切り身にしないで柵を出してもいいのです。声を出して言いたいです。造りにはナイフとフォークを付けて欲しいです。