週間店長情報 自分の事は自分では判らない?2024.01.22
ダイスポという新聞をよく買います。お目当てはプロレス。何回も言っていますがプロレスは八百長ではありません。喧嘩芸の堀部何がしは「プロレスは演劇化された喧嘩」だと説明しています。スポーツ化された喧嘩は柔道とかアマレスリングです。プロレス興行は始まりの前座の試合からメインイベントまでが1つの舞台で繰り広げられるのです。
15分1本勝負だと「5分経過」のアナウンスだと「後5分で試合を成立させよ」の合図です。30分1本勝負だと「10分経過」のアナウンスこれは「あと5分で試合を終わらせよ」の合図。
最後の60分3本勝負もちゃんと時間通りに終わるのです。実況生中継のテレビでもしっかり時間通りに終わるのです。ちゃんと終わらせないと「あいつはへた」となるのでしょう。
入門したレスラーが数年すると海外武者修行に出かけます。海外に出て箔をつける為ではありません。海外に出て悪役修行がほとんどです。ヒールになって観客をどう喜ばせるかを勉強するのです。観客はどういうしぐさをすると興奮するかを研究するのです。観客が握手喝采してくれるのではありません。観客から「死ね」とか「くたばれ」とか散々に言われるのです。なかには暴動寸前とか観客に暴力を振るわれる事もあります。この観客が怒り狂わせるのが仕事です。観客の興奮が大きくなるとギャラがアップするのです。ここで観客ののせ方を覚えるのです。
メインイベントはだいたいヒールとベビーフェイスの試合になります。ヒールは毎回顰蹙をかう言動と反則を繰り返します。レフリーも一役買っています。ある時は見ぬ振りをします。カウントのスピードも同じではないです。全部観客を喜ばせる為にしているのです。
シリーズでの興行だと最終戦はだいたい大きな会場です。ここでのメインイベントが売上げを左右するのです。会場が満員になるような仕掛けがあるのです。最後の試合が集客のポイントです。トーナメントだと「誰と誰とが決勝戦で戦うと売り上げが上がるか」を考えているのです。リーグ戦でも同じです。きわどい星勘定に仕向けて準決勝までは「はらはらどきどき」させて決勝戦は「大入り満員」になるように仕掛けるのです。アングルというらしい。企画と同じです。
レスラーは身体を鍛えるだけではだめです。試合の組み立てからフィニッシュに入った時の時間も考えなくてはいけないのです。これが出来ないと試合には出られません。その上自分の得意技を磨く必要があるのです。相手の技の受け方も練習しなくてはいけません。受け方だけでなく効果的に観客に伝わるような魅せ方も研究しているのです。どの位置から技を仕掛けるかとか技の手順とかも考えているのです。これって演劇と同じだと思いませんか。
同じ試合運びをしてもうける時とうけない時があります。会場の大きさとか地区の人の気質も関係しています。会場が違えば試合運びも違って来るのです。その上レスラーの性格とか特技も本人が思っているのとファンが感じている特長が違います。「自分の持ち味はパワー」と思っていてもファンは「スピードが魅力」と感じている場合もあるのです。このギャップを知る必要があります。
これが商売とどう関係があるのでしょうか?僕は魅せ方とか観客にアピールする方法とかが参考になると思っています。自分の店の特徴は「○○の品揃えが豊富」と店主が思っていてもお客さんは「この店の特徴は××と思っている場合もあるのです。他人の店の特徴は簡単に判ります。他人の眼で自分の店を見ることが出来ればいいのですがそういう事は出来ません。仲のいいお客さんに聞くのも1つの方法ですがこれも仲がよければ店の欠点は言いにくいのです。自然食愛好家が集まるイベントに参加してわいわいがやがや話をしているのが聞くのがいいでしょうがそういう機会は余りありません。以前僕の講習会に参加した人が僕の付き合いのある店の事を話してくれた事があります。その店の事を「サンプルしかないので買えない」というのです。彼女の仲では1個だけ在庫は「買ってはいけない」商品らしい。自分の事は自分ではわからない?