週刊店長情報 味噌汁を究める 30 9 3
「また 味噌汁かよう。まだ話の種があるんかい」「まだあります」「だいたい 味噌汁なんて単純なもん おめぇより主婦の方が詳しい筈」「味噌汁を量ってと言っても誰もしません」「そりゃ そうだろう そんなことせんでも主婦はちゃんと作れるから」「今回は金茶流をベースにしての話です」「なんじゃ そりぁ」「茶懐石の流派です」「こりんやつ そんだけいうんなら話してみぃや。ただし0.8はなしにしてくれ。聞き飽きている」と言う事で味噌汁の話です。
味噌汁の事を「おつけ」と言いました。何でお付けと言うのか判りません。今回のお勉強で判ったのです。元々は一汁一菜からきているのです。ご飯に付けるから「付け」だそうです。御御御付けと御が三つもつくのです。其のくらい大事な食べ物だったのです。ご飯には塩分がありません。漬物と汁が必要だったのです。味噌汁は吸い物より上等な食べ物だったらしい。
ついでに香こうについて 香の物の始まりは室町時代 味噌漬けは香の物と呼ばれていました。新香というのは新しい漬物という意味 お香香とも呼ばれています。
法事で読経が終わると懐石料理がでます。本膳と言っていました。膳は赤い色と黒の色があります。和尚さんのお膳は他のより高かったのを覚えています。お膳は当家にもあります。赤い色です。おつけのお椀は赤。このお椀は黒の色に上から赤い朱色を塗ったものです。
今回は出汁とか 具の入れ方についての話です。以前昆布について話をした事があります。鰹節については話をしたことがありません。「そんな事 あんたに言われんでも知っている」筈。
鰹節の作り方については大部分の人はご存知でしょう。三枚におろした鰹を茹でて乾燥させて黴付けするというのは誰でも知っているはずです。
大きさ 収穫場所 収穫時期 茹でて皮を湯の中でむく場合とあげてむく場合の違い。乾燥の仕方にも違いがあります。結果 価格とかランクの違いが出るのです。詳しくはネットで検索して。
かび付けしていないものが荒節 黴付けしたものを枯れ節。市場に出回っているのは荒節。花鰹(かつおのふしとかいてあります)と呼ばれているものです。主に出汁用です。食用に使うにはそのままだと食べにくいので一度鍋で乾煎りして使います。厚削りの鰹節はそばとかうどんの出汁用です。薄削りは出汁をとるのに1分程度。厚削りは数分から数十分かかります。
うま味が増大する合わせだしの作り方 出会い物と言うらしいです。うまみ成分はグルタミン酸に代表されるアミノ酸系とイノシン酸 グアニル酸に代表される「核酸系」があります。
グルタミン酸の代表は昆布 イノシン酸の代表は鰹節。この二つが出会うと旨みの強さが8倍にもなると言われています。一例を挙げるとボロネーゼソースです。グルタミン酸の豊富なチーズ&トマトとイノシン酸の豊富な挽肉を合わせて美味しさを引き出すのです。
具の入れ方も順番があります。「うそだろう。味噌汁で具なんて一度に入れるのが当たり前だろ」「違うのです。ちょっと考えれば誰でも判ります」それぞれ具材の火の通り時間が違うからです。
ジャガイモと玉ねぎの味噌汁の場合。初めに出汁と一緒にジャガイモを入れてコトコト煮込み ジャガイモが柔らかくなったら玉ねぎを投入。玉ねぎに透明感が出てきたら最後に味噌を溶いて入れ、火を止めて出来上がりです。玉ねぎのシャキシャキ感がポイントです。煮すぎない事です。
煮干の合わせだしの特徴 煮干と昆布の合わせ出汁も旨みが倍増する組み合わせです。ただ煮干し出汁は濃厚な出汁なので煮物のような料理には向きません。味噌汁には使えます。
納豆汁は大豆づくしの味噌汁です。納豆をすりつぶすか包丁でたたいて粘りを出し味噌汁に溶きいれるだけです。ポイントは煮えばなを早く食べる事。時間がたつと風味が落ちてしまいます。
中華 洋風の出汁とりには時間がかかります。数時間から数日かかります。日本食の出汁とりは数分。昆布 鰹 その他があるからです。味噌汁を究めるにはまだまだ時間がかかりそうです。