週間店長情報 重ね煮は無効 2021.04.05
漫画「美味しんぼ」で主人公はあひる(追い回し)から焼き方に昇進 更に煮方に出世しました。煮方が先で焼き方が後ではないのです。煮物の方が難しいのです。板前修業は一人前になるまでに結構長い時間がかかります。これが今までの常識です。
時代が変わって回転寿司だとすぐに板場というか接客ができます。寿司屋意外ではラーメン店もすぐに開業が出来ます。チェーン店になれば3ヶ月ぐらいで一人前になれるのです。すし屋も学校に入れば1年ぐらいで開業できるのです。どちらが良いとは言いません。こういう時代になったのです。後はお客さんが決める事です。流行ればいいのでしょう。
80:20の法則と言うのがあります。寿司屋の場合必要な知識とか技術は一人前になる期間の初めの2割の期間で8割の知識とか技術が得られると言う考え方です。後の2割の技術とか知識を得るには8割の期間が必要です。100%の本物になるのには時間がかかるのです。
いつぞやグリーンアイズの故森口さんの会社に同業者がきて「どうやったらこんな風にうまくやけるんでしょう」と言うので「あんたも何千回も焼けばうまくなる」と答えたと聞きました。レシピ通りに焼けば誰でもそこそこ焼けるのです。でも原料の生豆は袋ごとに乾燥具合 大きさのばらつきがあります。その上その日の湿度とか釜の状態 ガス圧。いろいろな条件は全部違うのです。同じ原料を使って焼いても微妙に違って来るのです。その為「焼き一生」と言うのでしょう。
その微妙な違いが判る人が沢山いると「あそこのは美味しい」となるのです。しかしそうならない場合もあります。評価されない事もあります。これは時代に合っているかどうかでもあります。
煮魚の煮付けについて書く予定です。お勉強。やっぱり僕の知らない事ばかり。
板前の煮物の作り方 各材料を別々に下茹でしておいてから、一緒に炊き合わせます。家庭でやる生から煮ません。材料はそれぞれ火の通る時間が違うからです。煮物のコツは火加減水加減です。
魚の煮付けで困るのは冷たい水から煮るか 煮汁が沸いた状態で入れるかです。答えは「白身魚は沸いてから、青魚は最初から鍋に入れる」ことです。煮魚を美味しく仕上げるコツは落し蓋と酒と醤油を入れるタイミングです。落し蓋 煮魚はあまり動かしません。崩れるからです。
煮付けとは煮しめの部類にはいります。煮しめは煮汁がなくなるまで煮る煮物を指しています。
煮物の種類 飴煮、甘露煮、照り煮、艶煮、煮付け、荒煮、白煮、味噌煮、柔らか煮、さくら煮、沢煮、芝煮、酢煮、地部煮、おろし煮、旨煮、じか煮、揚げ煮、炒め煮、焼き煮、けんちん煮、鍬煮、薩摩煮、ごった煮。こんなに沢山の煮物があるなんて初めて知りました。
正食では「重ね煮」と言う煮物料理を紹介しています。これを聞いて煮物はこの方法が一番だと信じていました。この考えがちょっと?になったのは水島シェフの講演を聴いてからです。シェフの書籍の中で寄せ鍋の作り方がカラー写真入りで紹介されています。筑前煮の作り方も載っています。本で具材はそれぞれ火の通る時間が違うというのです。具材を一緒に入れて煮ると煮上がり時間がバラバラなので全部が均一に仕上がらないのです。ある具材は柔らかすぎ ある具材に生煮えという具合になるのです。これってコーヒーの焙煎の時にも出てきます。ブレンドして焙煎した場合です。豆の品種ごとに大きさ、乾燥具合が違うからです。
正食料理は砂糖を使いません。料理屋での煮物料理には砂糖、酒は欠かせません。酒は材料を柔らかくし、かつ旨みを引き出す役割をします。砂糖を毛嫌いしている正食って変です。砂糖は悪くないのです。重ね煮の材料はレンコン、ニンジン、ごぼう、大根、コンニャク、厚揚げ等です。これを陰性なものは下に 陽性な具材は上に置いて煮ると速く煮えるというのです。これって40年以上前から言われている事ですが具体的に何分早くなるのか示した資料を知りません。具材毎に火の通る時間が違うのに変だと思いませんか?効果かあるやなきや 判りません。