週間店長情報 泡の科学 2022.12.19
前回の「ワインを嗜む」の所で書き足りないことがあります。ワインは冷やさないで飲むものだという人が多いかもしれませんが白ワインは冷やして飲んだほうが美味しい筈です。白ワインは果皮と種を除いて作るので甘いのです。冷やすと甘さが控えられます。もちろん甘いのが好きな人は冷やさなくて飲んでいいです。もう1つはワインの飲む順番です。1つのワインを飲むより数種類のワインを飲むのが通だとか。その場合の順番は白 ロゼ 赤の順番です。赤が最後になるのは渋みがあるためです。渋みが肉料理の後に舌がペチャっとなるので渋みで消すのです。
泡について考えた事はないです。そりゃそうです。考える対象にならないのが普通。どちらかと言えば裏方です。泡が主役になったことはありません。「とかなんとかいって取り上げる材料がなくなっただけじゃないの」と言われそうです。実際はどうか判りません。
泡にも種類があるの始めて知りました。今まで気泡と泡沫がごっちゃになっていました。気泡はバブル、泡沫はフォーム。気泡とは液体中もしくは固体中にある気体の粒子。気泡は多数の気泡が1つの液面に浮上して塊を形成した物。泡沫は二つの界面からなる物。液体泡沫はビール、石けん、泡消化剤など。弾性泡沫は樹脂スポンジ、マシュマロ、パンなど。固体泡沫は気泡コンクリート、泡ガラス、軽石、木炭、ビスケットなど。
泡の作り方 圧力温度の変化による泡。化学反応による泡。機械的操作による泡。
数回前のビールの三度注ぎを思い出します。今せっせと練習しています。今までのサーモスのタンブラーではステンレスなので中が見えません。サーモスを断念。ビアジョッキにする事に。容器が大きくないと30センチ以上離しての1投目が難しいのです。ジョッキも冷蔵庫で5分程度冷やさないとクリーミィな泡が出来ないのです。このままだと夏場は2個のジョッキを冷蔵庫で冷やす事になりそうです。ちなみにビールの泡はビールの中に溶け込んでいる炭酸。ビールに刺激を与えると溶けていた炭酸ガスが気泡となって遊離し泡の周りにビール中のタンパク質などが包み込んだ状態となります。包み込まれた泡は液面上に集まり泡の相を形成します。コーティングに関わる物質は麦芽由来のタンパク質とホップ由来の苦味成分であるイソフムロン。これが複合体を形成し泡膜の表層部分に配列する為キメが細かく壊れにくいクリーミィな泡が出来るのです。
他にもえハンドドリップでのコーヒーの淹れる時の泡があります。豆が新しくないと膨らみが少ないです。この理由はコーヒー焙煎で出来る炭酸ガスが放出されるだけでなく豆の中にも半分閉じ込められるからです。ガスは時間と共に少しずつ放出されます。ジッパー付きの袋にはエージーレスが入っていて炭酸ガスを吸収しています。グリーンアイズの故森口さんは「焙煎したてより10日前後経ったコーヒーが美味しい」と言っていました。10日前後でかなりの炭酸ガスがでてしまうからです。愛知県のオキノコーヒーは逆の考え方で「ガスも旨み成分」だと聞きました。
エスプレッソの泡も炭酸ガスです。ハンドドリップでのコーヒーは炭酸ガスをかぐことは出来ませんがエスプレッソコーヒーだと炭酸ガスを味わえるのです。炭酸ガスは副交感神経を刺激します。気分的に落ち着くのです。
泡と言えば抹茶の泡もあります。これも抹茶の苦さを押さえてくれます。泡の成分はサポニン。茶筅で泡立てます。熟練の技が必要です。これも電動茶筅を使えば10秒で出来上がります。「そんなの邪道」と言う人が居ます。「邪道人間のあんたに言われたないわい」50人100人淹れる場合は断然電動が優秀です。お点前で一人ずつ入れるのは点てるほうの都合です。電動茶筅で10人分立てるのに1分前後かかるのでみんな一緒に抹茶を飲むことが出来るのです。今は出ていませんがAIを使ったハンドドリップ電動マシンが出来れば同じ事が起きるのです。
泡はいろいろに料理の使われています。関心のあるのは泡醤油。作ってみたい気分。