週間店長情報 出汁なし巻き卵 29 7 17
「おめぇ 卵焼きの講義をするつもりかい」「そうです」「そりぁ 釈迦に説法というもんじゃ。これを読んでいるほとんどの人はおめぇより料理上手。そんな人に向かって話をするって言うのはかなり無謀と違う?」「そうかも知れません」「自信があるのかい」「それほどではないですが誰でも知っている筈ですが知らない事もあるはずです。そこのところを話してみょうと思っています」「本当に大丈夫。卵料理なんて主婦の定番、みんな そこそこ美味しく作れるでぇ」「ちょっと理屈っぽい話になります」「そんなら聞いてやる。話してみいや」宜しくお願いします。何とかシェフという漫画でプレーンオムレツだけしか作れない料理人の話を読んだ事があります。「あれも作れる これも作れる」より一つの料理を完璧に作れるほうがいいという話でした。セミナー講師水島弘史先生も「100の料理を作れるより10の料理を完璧に作れるほうがいい」と言っています。知識がいろいろあるより専門的な深い知識を持っているほうが値打ちあるということでしょう。まずはゆで卵の作り方「ちょっと待て、そんなもん誰でも知っている」「まぁまぁ 聞いてつかあさい」冷蔵庫から出して卵の温度を室温に戻します。(これが大切)鍋に卵の頭がしっかり隠れるくらいの水を入れて火にかけ沸騰したら卵を入れて火を少し弱め好みの硬さの時間だけ茹でて冷水にとって殻をむけば出来上がり。当たり前すぎる話です。茹で時間はお好みではありません。5分の場合は醤油をかけて食べる場合です。7分は冷ました煮汁に漬けて醤油卵とする場合。12分の場合ゆで卵としてサラダ等で食べる場合。15分以上は不可。卵の黄身を中心にしたい場合、生卵の状態でとがっていないほうを針で5箇所くらい穴をあけると黄身が真ん中のゆで卵が出来上がります。電子レンジで目玉焼きを作るには耐熱容器に薄く油を塗って卵を割りいれ、菜ばしで数箇所穴を開けて(黄身の破裂を防ぐため)ラップをかぶせて600W40秒で加熱すれば出来上がりです。(レンジから出るマイクロ波はほとんど無害です)次は卵と水分の比率「いろいろこまけぇやつじゃ。そんなんもあるんかい」「聞かんと判らないかも」卵1個50gこれと同量の50gの出汁を入れるのが家庭用の卵豆腐。料理屋の卵豆腐は出汁100g。卵1個に出汁150gだと茶碗蒸し又ゆるい卵豆腐。チーズを加えるとチーズ豆腐。出汁を牛乳に代えて砂糖を加えればプリンになります。チーズを加えればチーズケーキに変身。次に卵の量が水より多い場合です。卵2に対して水50gを加えて作るのが料理屋の出汁巻き卵。これは巻くのが難しい。家庭では卵3個に出汁50gがお勧めです。次は「出汁なし巻き卵」の作り方です。「出汁なし卵っていつも作っているアレかい」そうです誰でも作っているアレです。おさらいのつもりで読んで下さい。僕は今まで卵だけを溶いて作っていました。砂糖と出汁も入れません。皆さんはどうでしょうか。ふんわり仕上げるという考え方をしていなかったのです。「たかが卵焼き」だからです。卵焼きに出汁を入れるのは料理屋。料理屋はいつも味が一定でないとダメなので出汁を入れているのです。我々の家では必要がないです。卵本来の味は出汁なしのほうが出せるのです。何も入れないより水を入れるほうがふんわり仕上がります。砂糖をいれると更にふんわり仕上がります。砂糖には吸水作用があるからです。水の分量は卵3個に対して水50gです。水の代わりに牛乳を使うとクリーミィな仕上がりになります。このときのポイントは初めにも書いていますが卵は冷蔵庫から出して常温に戻しておくことです。冷たいままの卵はバツ。関東と関西の卵焼きの違いについて。関東の卵焼きは甘いといわれています。砂糖を使うからです。一方関西では卵を出汁で割ります。砂糖は使いません。昔砂糖は贅沢品でした。関東の人は昔も今も裕福なのです。美味しければ高くても売れる文化です。関西はけちと始末の文化。卵に出汁を加えて2個分を3個分に増量して作っていたのです。関西では美味しいだけでは売れません。価格がこなれていないと売れないのです。賢い?ロジカルな出汁なし巻き卵作りの話。聞いてみないと判らん内容だったかも。一生青春一生勉強 進め! こだわり坊や。