週間店長情報うまみの正体 2022.04.25
昆布については以前書いたことがあります。旨み成分が沢山入っています。旨みと美味しいは違います。旨みは独立した味 美味しいは視覚 嗅覚 香り 食感 音 雰囲気 環境 の五感を総動員して感じる物です。旨み成分は出汁と言われています。出しに使われるのは昆布だけでなく煮干 かつお シイタケ あご 等があります。
セミナー講師の一人水嶋シェフの本に「煮物に出汁は不要です」と言うのがあります。講演で煮物に出汁を入れるのは出汁を二重に入れる事になると説明していました。野菜とか肉魚から良い出汁が出るのです。日本では出汁は昆布等ですが西洋では野菜とか肴、肉を使って出汁を取っています。僕のラーメン作りは昆布 煮干 かつおを使っています。家内が「今日のラーメン、麺はまあまあだけど出汁がいまいち」とか言われています。昆布は前日に水に漬けて置くといいのですがものぐさの僕は前日と言うのを忘れて当日に漬ける事も度々です。かつおに代えて混合だしを使ったりしいたけ粉末を入れたり試行錯誤を続けて作っています。
一言に煮干と言ってもいろいろあるのです。かたくち マイワシ うるめ あじ等です。飛魚だしもあります。それぞれに特徴があります。かたくちいわしは魚の味 臭いが濃い。マイワシはあっさり淡白。うるめいわしは脂肪が少なく甘みがある。あじはまろやかな甘み魚臭くない、冷めても臭みが出ない、いわし系より苦味が少なく上品すっきりとした味。飛魚は脂肪が少なく淡白ですっきり、焼き飛魚は香ばしく風味が濃い。煮干出汁の旨み成分はイノシン酸です。飛魚出汁が煮干いわしと違うのはイノシン酸とグルタミン酸が入っているからです。
かつおについても荒節と枯れ節があります。違いと製法については皆さんのほうが詳しいでしょう。自然食品店は食についてはいろいろ知識がある筈ですからここでは割愛。
その他出汁の出る物はいろいろあります。えび かにからもいいだしが出ます。旨み成分はグリシン 甘みが出ます。ほたてとか貝類も旨み成分はコハク酸 隠し味に使うんだとか。野菜からも旨みが出ます。これも隠し味、にんにく 生姜 セロリは香辛料として魚肉の臭み消しに。鶏 豚 牛肉からでる旨み成分はイノシン酸。鶏骨と香味野菜で煮込むと 鶏がらスープに。
旨み成分の分類 アミノ酸ではグルタミン酸、核酸ではイノシン酸 グアニル酸、有機酸では酢酸 クエン酸 コハク酸があります。有機酸というのは窒素を含まない炭素化合物
出汁に詳しい店の店主に「かつおは風味が強すぎて昆布が負ける」と言うと「羅臼なら負けません」と教えていただいたので今ラーメン作りは羅臼を使っています。物が良くても料理の腕が上達していない僕は度々前日に昆布を入れるのを忘れます。当日に入れて作った出汁は家内から「今日の麺はまあまあだけど出汁が効いていない」とダメだしされたりします。昆布も初めは重さを量ってそのまま入れていましたが小さく切って入れていました。ナイフに傷をつけてというのもやってみました。今はハサミで切りこみを入れてから水の中に入れています。
ここで「何で羅臼なんだろう」と素朴な疑問。前回の紹介で癖がないすっきりしているのは真昆布、甘みがあり安価なのが日高、色が薄いのが利尻(京料理に使われる理由)、濃厚なコクのあるのが羅臼と説明しています。収穫場所によるらしい。更に言えば栄養成分が一番多いのは根昆布でしょう。海の中で一番長く生育しているからです。羅臼を知るまでは家内が毎年年末に婦人会で買う昆布巻き用の昆布を使っていました。件の店長は「婦人会の昆布は昆布巻き用で養殖物でしょう。ほとんど旨みは出ません」と言っていました。差があるというのは成分も若干違う筈です。調べてみました。そこで判明したのがグルタミン酸の成分量の違いです。
昆布の旨み成分はグルタミン酸とアスパラギン酸です。ネットで成分比較がでています。一番多いのは羅臼 順に長昆布 真昆布 カゴメ昆布 日高昆布 利尻昆布 細目昆布となっています。